税金を抑えたiDeCoの受け取り方2選
こんにちは!マネー夫婦のからあげです!
みなさん、iDeCo(イデコ)やってますか?
iDeCo(イデコ)は上手く使えば、つみたてNISAよりもお得になりうる制度です。
ただし、【クセが強い】制度です。
- まだiDeCoを始めていない
- まずiDeCoについて詳しく知りたい
という方は、以下の記事をご覧頂き、【クセ】について知ってください。
【初心者向け】iDeCoのメリット・デメリットを解説!つみたてNISAとどっちを優先すべき?
先にこの記事の結論から述べます。
iDeCoを受け取る際は、「年金」として受け取るよりも、「一時金」として一括で受け取る方が税金を安くしやすい!
さて、iDeCoは、
- 【スタート】掛金を拠出する際
- 【途中】 運用して利益が出た際
- 【ゴール】老後に受け取る際
【スタート】〜【途中】には税金が掛かりませんが、まさかの【ゴール】で初めて「所得」として課税されます。
この記事では、ここで掛かる税金を
「なるべく安く抑える」
「可能ならばゼロにする」
ことを目標にしています。
折角、節税させてもらえるので、最後まで税金を抑えていきたいですよね!
まずは「iDeCoの売却方法(受け取り方)」を確認し、自分に合ったものを理解していきましょう!
iDeCoの受け取り方3パターン
受け取り方は、大きく3つあります。
- 年金受取り(年金として分割でもらう)
- 一時金受取り(退職金として一括でもらう)
- 併給(一部を一括で、残りを分割でもらう)
つまり、「❶年金」「❷退職金」のどちらかで受け取るわけですが、ここで掛かる税金が変わります。
理由は、年金と退職金は
- 分類される「所得」の種類
- 適用される「控除」の種類
が異なるからです。(以下の通り)
「所得」の種類 | 「控除」の種類 | |
---|---|---|
年金 | 雑所得 | 公的年金等控除 |
退職金 | 退職所得 | 退職所得控除 |
この記事では、所得(雑所得・退職所得)の違いについては割愛します。
説明が複雑になって面倒なので。笑
では、「控除」の違いについて見ていきましょう!
「控除」って何だっけ?
という人は、ざっくり
控除が大きければ、その分所得が減る。
→所得が減れば、その分払う税金が安くなる。
これだけ覚えておきましょう!
今回覚えておく「控除」は2種類です!
2種類の控除の違い
公的年金等控除
年金としてもらうお金には、あまり税金掛けないよ〜
という趣旨の控除です。
老後にまで重税を掛けられては、堪ったもんじゃないですね。笑
「公的年金等控除」の金額は、年齢によって変わります。
また、もらえる年金額によっても控除額は変わります。
ここでは、それぞれ一番年金額が安いパターンで話します。
上記に加えて、全員一律に48万円分もらえる「基礎控除」もあります。
年齢 | 控除の金額 (最小金額) | 基礎控除 (全員一律) | 合計額 |
---|---|---|---|
65歳未満 | 60万円 | 48万円 | 108万円(年間) |
65歳以上 | 110万円 | 48万円 | 158万円(年間) |
一般的に年金がもらえる年齢の「65歳」より上か下かで控除額が変わる、ということですね。
例えば70歳の人が、年金を月14万円(年168万円)もらう場合、
168万ー158万=10万円
税金が掛かるのは、この10万円の部分のみになります。
もらえる年金額が月13万円より安ければ、税金※はゼロになります。
※所得税のみ。住民税については計算が少し変わります。
退職所得控除
退職金には、あまり税金掛けないよ〜
という趣旨の控除です。
「長いことお勤め、ご苦労さん」といった感じでしょうか?笑
退職所得控除の金額は、勤続年数によって変わります。以下の通りです。
勤続年数 | 控除の金額 |
---|---|
20年以下 | 40万円✖️勤続年数 (最小金額:80万円) |
20年超 | 800万円+70万円✖️(勤続年数-20年) |
つまり、勤続年数20年までは毎年40万円ずつ控除額が増えていき、21年目からは70万円ずつ増える、ということです。
例えば勤務年数35年のAさんの場合、控除額は
800万+70万✖️(35ー20)=1,850万円
となります。
Aさんの場合1,850万円までは税金がゼロになる、素晴らしい制度ですが、まだ終わりではありません。
退職所得控除の更に素晴らしい点は、この金額を超えた分を、さらに半分にしてくれる所です。
Aさんの退職金を仮に2,000万円とすると、控除額が1,850万円なので
2,000万ー1,850万=150万円
控除額を150万円分、超えてしまっています。この金額をさらに半分にした
150万➗2=75万円
税金が掛かるのは、この75万円の部分のみになります。
Aさん、退職金2,000万ですが、払う税金はせいぜい10万円強です。
「退職所得控除」のお陰です。
【注意】令和4年1月以降、勤務年数5年以下の場合は、退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分については、1/2の適用が除外されることとなりました。(勤務年数5年以上の人は気にしなくて大丈夫!)
受取りの際に掛かる手数料
実はiDeCoを受取る際、税金の他に気にしておくべきものがあります。
それが「手数料」です。
詳しくは以下で説明しますが、ざっくり
「分割」で受け取った場合
に、手数料が大きくなる傾向にあります。
❶口座管理料
掛金を拠出しなくても、毎月66〜450円程度(金融機関によって異なる)が掛かります。
例えば「30年で分割」受取りにした場合、2.3万〜最大約16万円の手数料を支払うことになります。
ただし、「SBI証券」等のネット証券で口座開設していればこの手数料は最小に抑えられるので、それほど気にすることはありません。
❷給付事務手数料
老後、お金を受取る「度に」440円が掛かります。
一時金として一括で受取れば440円で済みますが、
例えば「年に6回、30年で分割」受取りにした場合、
440円✖️6回✖️30年=79,200円
この金額はバカになりませんね!
税金を安くするためのiDeCoの受取り方2選
結局、税金を払わずにiDeCoを売却するにはどうすれば良いの?
実は、もらえる年金・退職金の額によって最適解は変わります。
「人によって違う」というのが結論です。ここでは、
- 自営業・専業主婦(夫)の人向け
- 会社員・公務員の人向け
に、それぞれオススメの受取り方を紹介します。
❶退職所得控除上限まで一括、残りは分割で受取り
具体的には、<退職金が無く、年金が基礎年金のみの人向け>です。
例えば、iDeCoの加入期間(掛金を拠出した期間)が20年、運用の結果全額で2,000万円になったとします。
この場合、退職所得控除の金額は(加入年数)✖️(40万円)なので
20年✖️40万=800万円
800万円となります。この金額を一時金として受取り、
2,000万ー800万=1,200万円
残りの1,200万円を年金として受取ります。
年金に税金が掛からないようにするには、以下の金額※に抑える必要があります。
- 65歳未満…月9万円
- 65歳以上…月13万円
※この他に収入(所得)が無い人の場合です。
60歳から受取り始めた場合、ざっくり70歳くらいでiDeCo全てを受取る計算になります。
❷全て一括で受取り
具体的には、<年金が基礎年金+厚生年金の人向け>です
先ほども述べましたが、年金額が月13万円を超えると税金が掛かります。
将来、基礎年金+厚生年金を受け取るほとんどの人は、
月13万円を超える可能性が高いです。
その場合、iDeCoを年金として受け取ると、がっつり税金が掛かってしまいます。
さらに、上記の「手数料」も割高になってしまうので、オススメできません。
どうせ税金が掛かってしまうのなら、退職金として一括で受け取ってしまいましょう。
そうすれば、退職所得控除を超えてしまった分も、税金が半分になるのでお得です。
マネー夫婦の受け取り方
もう少し上級者向けの受け取り方も紹介します。
公務員のからあげも、この受取り方にする予定です!
上記「❷全て一括で受け取る」ですが、
退職金とiDeCoの一時金を受け取る時期をあえてズラす、という方法です。
この方法により、「退職所得控除」を2回分受けることができます。
ちょっと複雑に感じますが、ざっくり説明します。
勤続年数35年のBさんの退職所得控除は1,850万円です。
800万+70万✖️(35ー20年)=1,850万円
Bさんの退職金が1,850万円以上ある場合、これだけで所得控除の枠を使い切ってしまいます。
iDeCoの一時金が1,000万円ある場合、退職金と同時に受け取ると、1,000万円全て(実際には半額の500万円)に税金が掛かります。
しかし、受け取る時期をズラすことで、「退職所得控除」をもう1回受けることができ、iDeCoの加入期間によっては税金をゼロにすることも可能です。
退職金とiDeCo、どちらを先に受け取るかでズラす期間が決まっています。
パターン | 受け取る順番 | ズラす期間 |
---|---|---|
1 | 退職金→iDeCo | 20年以上 |
2 | iDeCo→退職金 | 5年以上 |
iDeCoを受け取るのは60歳以降です。
パターン1の場合、例えば
<50歳で退職金を受け取り、70歳でiDeCoを受け取る>なら退職所得控除を2回分受けることができます。
パターン2の場合、例えば
<60歳でiDeCo、65歳で退職金を受け取る>場合ですね。
まとめ
マネー夫婦は現在30歳なので、iDeCoの受取りは30年先の予定です。
まだまだ先の話だし、今知らなくても良いんじゃない?
私たちもこの記事の内容は頭の片隅に置いておくだけで、それほど気にするつもりはありません。笑
ただ、投資を始める以上、「終わり方」「出口戦略」について一つの考えを持っておくのも悪いことではありません。
この先制度の変更があれば随時加筆していきます!
何度も言いますが、iDeCoはクセがかなり強いです。
長期間の資金拘束がある上、受取り時にも工夫が必要です。
2023年までは、「つみたてNISAの投資枠を使い切ったら、次はiDeCo」という人が多いですが、
2024年からはNISAの投資枠が広がるので、iDeCoの利用者にも影響するのではないかと思います。
(恐らく2024年以降、iDeCoの利用者は減る?)